越前漆器

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越前漆器とは

世界最古の日本の漆

漆器は英語で「japan」とも呼ばれる日本を代表する工芸品です。その歴史は古く、縄文時代の複数の遺跡から漆を施した装飾品や生活道具などが出土しています。福井県の鳥浜貝塚では、世界最古とみられる約12600年前の漆の木や、約6100年前の赤色漆塗り櫛が出土しており、福井の地で古来から漆工芸技術が根付いていたことをうかがわせます。かつて「うるし」という言葉には、「潤夜」「潤美」の字があてられていたという説もあります。それは漆が暮らしに深く結びつき、潤いや美しさをもたらしてくれる存在であったことを物語っています。

1500年の歴史を持つ越前漆器

福井県鯖江市河和田地区周辺を産地とする越前漆器。そのルーツは約1500年前にさかのぼります。第26代継体天皇がまだ皇子のころ、壊れた冠の修理を片山集落(現在の河和田地区片山町)の塗師に命じられました。塗師が冠を漆で修理するとともに黒塗りの椀を献上したところ、皇子はその見事な出来栄えに感動。片山集落での漆器づくりを奨励したのが始まりと伝えられています。片山地区の漆椀は、室町時代には報恩講などの仏事に使われるように。江戸末期になると京都の蒔絵技術や輪島の沈金の技法を取り入れ、華麗な装飾性も磨かれました。

職人が集結する産地・河和田

河和田地区は、木地づくり、漆塗り、蒔絵、沈金など産地全体で分業体制が確立されており、職人間のネットワークも産地としての強みです。1900年(明治33)には組合(現在の越前漆器協同組合)を設立。1975年(昭和50)には、伝統的工芸品として大阪通産局管内で第1号の指定を受けました。2004年(平成16)の福井豪雨で漆器産業は危機的状況に陥りましたが、地域が一体となり復興に尽力。木工、塗師、蒔絵の職人グループ「軒下工房」は、工房見学、体験ができるほか、職人の指導のもと本格的な漆器づくり体験ができる「職人塾」には根強い人気があり活気を生んでいます。